母のぬくもり



この襟つきベストは

三人目を出産したときに、夜中の授乳は寒いからこれを着たらいいよと

母が編んでくれたものです。その娘ももう21歳になりましたから

このベストも愛用して同じ年月が経ったことになります。



もう永いこと着ていますので、傷んでいる所もあるのですが

どうしても処分できなくて、毎年この時期になると重宝する部屋着です。

朝夕、上から一枚このベストを着ると暖かさがまるで違います。

袖がないので家事をするのにも邪魔にならず、ただ母に感謝です。



母はまだ裁縫はしますが、編み物は肩が凝るからと言って

しなくなったので、もう母から編んでもらえないと思うと

余計にこのベストは大切にしなくてはと思うようになりました。



このベストだけは、クリーニングには出しません。

必ずやさしくやさしく手洗いです。

だからこんなに永く着ても毛糸の風合いが残っていて

いつまでもふわふわです。



これから寒くなりますが

母の手編みのこのベストでこの冬も乗り切れるでしょう。